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【「気持ちがいいな」っておもえるとき、シャッターが押せればいいな。】No.2

 ぶらりインタ表紙

    写真家のノリコさんが沖縄に来た今から6年前。

    偶然、オキナワン・ロックスターのカッチャンに出逢い、

    それからシャッターを押し続けました。今年の2月には、

    アカラ3階のダイニングカフェ「ジャノス」で写真の展示会とカッチャンの

    ライブも敢行。話題を呼びました。忙しいさなか、ノリコさんに

  「異星人」ともおもえるカッチャンの写真のあのことこのことを、

    おしゃべりしてもらいました。

                   (インタビュアー:當山忠)

    ノリコさんのプロフィールなどのことは、

            http://www.norico-ph.com/まで。

 

          2 近すぎず、遠すぎず。

 當山  はい。視点が、ノリコさんのなかで次第に変わっていったんですね。

ノリコ  ええ。最初、カッチャンを全部撮るためには

     全部知らなきゃとおもったんです。

     でも、そのうち近づき過ぎてしまったんですね。

     そのことで、写真を撮ることが難しくなってきたんです。

     わたしがお客さんではなくなったことで、

     プライベートではない側面を撮りづらくなってしまった。

     結果として、わたしは自分が撮りたいと思う写真と

     被写体との距離感をどこにおけばいいのか

     わからなくなってしまったんです。

     そんなことでは、いい写真など撮れないということが

     よくわかりました。

N9

 當山  いゃあ、写真を撮るって壮絶ですね(笑い)。

ノリコ  そうです(笑い)。

     とにかく、最初はカッチャンが全部見える状態に

     したいとおもいました。

     カッチャンの経営するライブハウスで

     私自身がカウンターに入ったり衣装を作ったりして、

     そんなことを全部やるなかでいつ撮っても

     おかしくないような状態をつくってきました。

     ところが、やっぱり写真は被写体と写真をとる人間の

     セッションになりますので、

     関係性がそのまま写真に出てしまいます。

     近づきすぎると近づきすぎた写真しか撮れません。

     だから自分が狙った距離感を保って撮らないといけないわけです。

     今回カッチャンを撮っていて、それがたいへん勉強になりました。

N10

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 當山 近づきすぎず、遠すぎず…ですね。

    話は少し変わりますが、コマーシャル業界などで

    アートディレクターなどが「大衆に蹴受けるもの」を

    計算してつくるわけですが、そこで果していい写真というのは、

    撮れるものなのでしょうか。

ノリコ たとえば、広告などの仕事の依頼を受ける場合には戦略というのも

    ありますが、 マニュアルでいい写真は絶対撮れないでしょうね。

    一流の人っていうのは、その中でたくさん感動して、

    そこを追求できるっていう事だと思います。

    それがその人の持ってうまれた才能です。

 當山 ひとつうかがいたいことがあります。

ノリコ どうぞ、遠慮なく。

 當山 カッチャンはエンタテイナーで、

    いつも人を喜ばそうとしますよね。

ノリコ そうなんです。

       それはすごいことなんだとおもいました。

N12

 當山  ところが、これは言い方を変えれば、人にサービスをするために、

     じぶんを作っていることになります。

     悪く言えば、作りものをしているのではないでしょうか。

     そのとき、フォトグラファーとして、

     被写体に対してシャッターを押すときに

     なにか違和感はなかったですか?

ノリコ  おおありです。

     カッチャンはカメラを向ければ即座にポーズをとるんです。

     何とも変な感じになっちゃいました。

     その瞬間、彼にとって私はお客さんなんでしょうね。

     カッチャンはモデルとして何か表現しようとするタイプでは

     ありませんから観客がいないと飽きてしまう。

     ポーズをとらないでと言うと、

     サービス精神の矛先が私に向かなくなるので

     観客がいなくて、つまらない。

     だから自然な写真がなかなか撮れないんです。

N13

 

       3 カッチャンを選んだということ

 當山  それと話は少し変わりますが、

     ノリコさんが今回カッチャンに焦点を当てたということは、

     カッチャンが社会的に何もしていないようみえて、

     実はなにかとてつもないことをやっている存在であることに

     目を向けたのではないかとおもいました。

N14

 

N15

ノリコ   そうですか。ありがとうございます。

      実は私も小さいころよく人から

      変わってると言われていました。

      たとえば、昔から朝礼とかで並ばされていたこととかに

      何でならばなきゃいけないのかとおもっていました。

      それはいったい誰が決めたのか、

      ずっと不思議に感じていたんです。

      私もそういう人間だったので、

      カッチャンと出会った時にとても楽になったんです。

 當山  そして、もっとすごいなとぼくが感じたのは、

      社会や体制になびかないカッチャンの存在自体に重みがあって、

      それをノリコさんが写真に納めてくれたということです。

      社会になおざりにされているものすごいカッチャンという存在、

      世の中に尻を振らないカッチャンという存在、

      それを写真というかたちで世に出してきた。

ノリコ   そうですか。私でも気づかないことを

      ってもらえて嬉しいです。

                                (つづく)