月別アーカイブ :

『ここまで来たよ、35年』〜あるTシャツ屋さんの記録〜 No.3

ここまで来たよ、トップ(3)

 

「Habu Box」のTシャツデザインのあれこれをふりかえるシリーズ。ささ、今回いよいよ第3弾。社会事象にも関わり始めたデザイナーもにわかに出てきますよ。自然環境のことと基地問題があわせて出てきたのが、このころの特徴なのかなぁ。さて「No.3 Tシャツデザイン史  Ⅲ」(1990〜1998)です。ごゆっくりどうぞ。

 

【HabuBo 1990】No.9

 ウルフ

HB35-10

 

 『イリオモテヤマネコ』のTシャツが出たころと同じ1980年代後半の動物ものシリーズ。Tシャツ文字に学名をプリントしてありますのは、ちょっとわかりづらいかも知れません。でもオオカミの不思議な生態をにおわすのに文字の効果が出るように工夫したのです。これまでのTシャツデザインには、ほとんど見られなかったイラスト力を全面に押し出したデザインです。動物の存在感のある表情は、そのころのTシャツ業界の度肝を抜いたんですよ。

 

【HabuBox 1991】No.10 

 ダイナマイトマヤー

HB35-11A

HB35-11B

 

 「マック」(ハンバーグではありません)が沖縄にもぼつぼつ使われ始めたころ、1990年前後のデザインです。ピクトグラム、アイコン風な図柄が、コンピューターゲームが流行っていた時代をよくあらわしています。電撃ショック、爆発イメージでちょっとこわいけど、かわいいって感じもあります。タイトルも「ダイナマイトマヤー」。「マック」が出てきたといっても、まだこのデザイナーはそのマシンを購入していなかったもよう。でも作品には、これからあとのデジタル時代を予感させる雰囲気がありますよね。 

 

 

【HabuBox 1992】No.11

 ニューヨークレストラン

 

HB35-12

  1980年代初めのころの作品です。沖縄が祖国復帰(1972年)して、どんどん「シマンチュ」が「ヤマトンチュー」のカラーに染められていきました。でも、です。「シマンチュ」は、そんなか、これまで経験してきた「ポーク」「ステーキ」「Aランチ」の「アメリカ文化」のことがどうして忘られりょか。「シマンチュ」は「アメリカ文化」もまだまだ大好きだったんですね。ちなみに「ハブボックス」は「ピースフルラブ・ロックフェスティバル」などの、オキナワンロックのTシャツデザインも最初に手がけたんですよ。沖縄がアメリカーであった時代の「Tシャツデザイン」も、沖縄ではハブボックスが初めてじゃないかしらん。

 

 

【HabuBox 1995】No.12

 2人のカチャーシー

HB35-13

 1990年代中ごろから最後のほうにかけての作品です。デザインはマティスやミロなどを思わせますよね。まるで美術館にあるようなデザインだなぁ。アート感覚を楽しんだTシャツデザインですね。でも「ハブボックス」のデザインテーマは、やっぱり沖縄から外れない「シマァーグヮー」スタイル。観光関連の自然文化の絵柄が多かったそのころでは、珍しかった作品と言えますね。

 

【HabuBox 1996】No.13 

 昼下がりの中で

HB35-14

 これも『2人のカチャーシー』と同じころの作品。ほぼ中央に大胆なブルーを縦にプリントしています。沖縄の空と海をダイレクトに表現したトロピカル色の濃いデザインが、元気ハツラツって感じです。「マッキントッシュ」が使われ始めたことで、このような温もりのあるアートの味わいのあるデザインは、このあと次第に少なくなっていきます。

 

【HabuBox 1997】No.14

 かけらの平和

HB35-15

 1990年代最後のころの作品です。モダンアート性の高いデザインとおもいませんか? フィッシャーのだまし絵的な表現とも言えますねぇ。そのころ、あの忘れもしない「沖縄米兵少女暴行事件」が起こったことは、このデザインにいくらかの影響を与えているに違いありません。沖縄がかけらになり、四角い枠で囲まれているのが「沖縄に自由や平和はほんとうにあるのか」という意味を問いけているような気がします。このころの「ハブボックス」のTシャツは、新聞紙面の美術批評でもさかんに取り上げられたんですよ。

 

【HabuBox 1997】No.15

 頭上の影

 

HB35-16

HB35-17

  1990年代最後のころのデザインです。「ハブボックス」のモダンアート世代の作品のひとつと言ってもいいでしょう。1995年の「沖縄米兵少女暴行事件」は、繰り返しますがこの世代に少なからぬ影響を与えたようです。Tシャツのフロントにコミックの吹き出しのような硬い図形がぶつかってくるように表現しています。不安感を図形でよく表わしているんですね。バックには緊張感あふれる劇画タッチのジェット機の影が不気味だねぇ。これまでの商業主義の枠を取っ払った作品だとおもいます。

 

【HabuBox 1998】No.16

 センソウッテカッコイイ?

 HB35-18

 

  1990年代、最後のころの作品です。この時期の「ハブボックス」は果敢に時事性のあるテーマに取り組んでいます、ほんとに。少年がフェンス越しに銃を向けているのは、とりもあえずショッキングなイラストですよね。沖縄の複雑な社会政治状況をデザインのテーマにしています。Tシャツデザイン業界というより美術界にも矢を放ったもような気がします。

                                                                                             (つづく)

へいそー